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タイトル

2009/01/08

前編


本文



東方ProjectSS第五弾 『博麗霊夢代理の東風谷早苗です。』


原作:上海アリス幻樂団『東方Project』


※このSSには設定として多少の筆者の独自解釈が含まれます、
  苦手な方は素直に戻るをクリックしてください。



 それは、地霊騒動のゴタゴタが終結して少しばかり過ぎた後の話…。


人里で買い物袋を抱えて歩く一人の巫女服の少女が居た。

「お肉もお野菜も買ったし、後は霊夢さんの所でお茶して帰ろう。」

彼女の名は東風谷 早苗、守矢神社の風祝、平たく言うと巫女である。
結界の外の世界からやってきた彼女だったが、今ではすっかり幻想郷の住民と化している。

どのくらいなのか具体的に例を挙げると、
慧音の寺子屋で臨時講師となり、
彼女が知っているレベルでの数学や化学などを教えていたり
阿求の屋敷にたまに呼ばれては外の世界についての話をしたりなど、

完璧に馴染んでいると言っても過言ではないだろうと思う。


余談ではあるが、守矢神社は妖怪の山の頂上という
立地条件にも関わらず、意外と幻想郷の人里の住民からの信仰心は厚い。

…だが、その大半が若い男性なのはなぜだろうか?

彼女は奇跡を起こす程度の能力を持っており、
その力を生かせば空中を飛行する事も十分可能である。

そして今は人里から博麗神社の方へ、ゆっくりと飛行中である。

下の方で数名の男性がこちらを見上げているが、
大丈夫、高校の頃の体操着のハーフパンツは袴の下に着用済みだ。

そこら辺の対策もしっかりしてある。

「…うぅ、今の時期にこの服は寒い。」

とは言え、腋が露出したこの巫女服を着るには
流石に下に何か着る訳にも行かず、冬であるにも関わらず薄着なのだ。


風邪を引かないのは一重に体力にはそれなりに自信があるからと
奇跡を起こす程度の能力の賜物だと思いたい。


「それにしても、今の時期は上着くらい準備した方がいいかしら…。」

そう呟きつつ早苗は博麗神社に着地。

だが、肝心のこの神社の巫女、博麗 霊夢の姿が見当たらない。
それに神社の境内に雪が積もりっぱなしだし…。

ひょっとして境内の掃除をサボってるのかと思ったが、
前に雪が降った時にここへ来た時ははちゃんと除雪してあったのでそれは考えにくい。

「霊夢さんに何かあったのかな?」

早苗はそう思いつつ博麗神社の裏手に周り、
「お邪魔しまーす。」と断りを入れた後で中へ。


そこには、博麗神社の玄関近くで完璧にぶっ倒れている博麗霊夢の姿があった。



「ちょ、ちょっと霊夢さん大丈夫ですか!?」
慌てて霊夢の元に駆け寄り、どうにか彼女を抱き起こす早苗。

「あぁ、早苗…?うぅ…、あたま、いたい…。」
早苗の姿をどうにか捉え、うわ言の様に呟く霊夢。
顔が赤いし体も震えている様だ。

もしやと思い、早苗は霊夢の額に手を当ててみる、すると…。

「凄い熱じゃないですか!
 駄目じゃないですか、具合が悪いならちゃんと休んでないと。」

「で、でも外に雪が…。
 ちゃんと、雪解けしておかないと…。」

「そんな状態で雪解けなんて無茶です!」

「昨日までは、大したことなかったんだけど…。
 体が、だるくて仕方ないし、関節の節々が、ちょっと痛いし…。」


急に熱が上がり、猛烈な体のだるさと関節の痛み…。
もしかしてこれは…。

霊夢の症状から早苗が一つの推測を立てたその時、

「うぃーっす、霊夢ー、遊びに着たぜー。」

素晴しくナイスなタイミングで彼女の親友、霧雨魔理沙がやってきたのだ。


「うぉい早苗、何でお前霊夢を介抱してるんだ?」

「魔理沙さん、なんていい所に!!
 実は霊夢さんがインフルエンザにかかってるみたいで…。」

「インフルエンザ?聞いたことないな…。」

そう言い考える仕草をする魔理沙。

その様子を見て早苗は
(忘れてたけど、そういえばここって結界で隔離された世界なんだっけ。
 なら、インフルエンザを知らなくても当然かもしれないわ。)

と思い直し、

「高熱が出て、時には命を落とす人もいるほどのすっごい風邪だと思ってください!」

と簡単に説明。

「成程、で、ヤバいのか?」

「医者ではないので何とも言えませんが、熱はかなりあるみたいです。
 で、魔理沙さんお願いですが…、」

「OK分かった、直ぐに永遠亭行って永琳呼んでくるぜ!」

早苗が言いかけた言葉を瞬時に理解した魔理沙が博麗神社を飛び出して行く。



それからしばらく過ぎて…、

「貴女の予想通りで、完璧にインフルエンザね。」

と、霊夢の様子を診断した永琳が、その場に居た早苗や魔理沙に告げる。

「霊夢は、大丈夫なのか?」

と魔理沙。やはり何だかんだ言いつつも
普段から仲が良いだけあって不安なのだろう。

「薬が効いてきたのか、今はゆっくり眠ってるわ。

 霊夢が引いてるのは比較的弱い方のウイルスである、
 B型ウイルスみたいだから、この薬を毎食後に飲ませて
 暖かい部屋で暫く休ませてあげれば大丈夫でしょう。

 湿度はあった方がウイルスの活動が弱まるから、
 出来るだけ部屋は高湿度を保つといいわ。」

と、薬を魔理沙に渡して、
テキパキとその場の二人に説明していく永琳。

「わざわざ有難うございます。」

「幻想郷でもインフルエンザの発症例が出たって事は、
 霊夢の体からウイルスを採取して、
 本格的に広まる前にワクチンを作って配布した方がいいかしら…。」

「おう、頼むぜ。下手すりゃ死者も出るんだろその、風邪みたいなの。」

「ええ。まぁウイルスのサンプルは採取したし、
 これを培養してどうにかこうにかワクチンを作ってみるわ。

 生命力の高い妖怪は兎も角、多分、
 幻想郷の人間はインフルエンザに対しての免疫は無さそうだし。

 じゃあそろそろ私は永遠亭に帰るわ。
 霊夢の容態が悪化したらまた連れて来て。」

「じゃあ早苗、私は永琳を送ってくるから今晩は霊夢の看病を頼むぜ。」

「わかりました。」

そのやり取りの後、魔理沙は早苗に受け取った薬を渡し、
先に立ち上がった永琳との後を追って博麗神社から出て行く。

そういえばこの博麗神社は外の世界と幻想郷との境界に位置する神社。
インフルエンザが入り込むならここからの可能性は非常に高い。

だから真っ先に霊夢が感染したのだろう。

早苗はそう結論付けると一旦、守矢神社へ戻り買って来た物を置いた後、

『霊夢さんがインフルエンザ引いて倒れたので今晩は向こうに泊まって看病します。』

と書置きを残し、河城にとりの元から以前購入した
加湿器などを持って博麗神社へ引き返す。


そして早苗が色々と荷物を持って博麗神社へ引き返してくると、
廊下の壁にもたれつつ歩いている霊夢を発見。

「駄目じゃないですかちゃんと寝てないと。」

「いや、ちょっと、外の…、様子を見ようかな…、と。
 雪、降り続いてるみたいだし…。」

「そんな事したら余計体調を悪くしますって。」

「でも…。」

「神社の事は、私や魔理沙さんに任せて今は体を治す事だけを考えて下さい。」

早苗はそう霊夢に言うと、
多少強引に彼女の肩を担いで部屋まで戻して布団に寝させる。

「今、霊夢さんが引いてる風邪は、
 下手したら命を落としかねない程の強烈な奴なんですよ。

 それから、少し部屋を加湿しますよ。
 蒸し暑いと感じるかもしれませんけど、我慢して下さいね。」


こうして、霊夢の体調が回復するまでの暫くの間、早苗と魔理沙、
そして時には萃香やアリスが交替で霊夢の看病に当たり、
博麗神社の代理巫女となるのだった…。



中編へ続く…。

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