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タイトル

2009/01/08

後編


本文



流石に小さい子とは言え、人を一人抱きかかえて飛んでいる以上、
飛行速度が思うように出せない。

だけど、このまま阿求さんのところまで逃げ切れれば…。


早苗が、そう考えた直後、彼女の背中に『何か』が被弾した。


「ぐぅ…ッ!! い、今のは?」

痛みを堪えつつ、被弾によって崩れたバランスを直し、
先ほど早苗を狙い撃った『何か』が飛んできた方向を見ると、
そこには先ほどの『ソレ』が口から弾幕を出して
こちらを狙い撃っているのが分かった。

「な、何なのよアイツは!!」

誤算だった、相手も妖怪、弾幕が出せないなんて事はない。

この子を抱えているせいで満足に回避機動も取れないこのままじゃ、
どう考えても狙い撃ちに…。

そう考え、早苗が行動に移すよりも先に『奴』からの第二射が襲いかかる。
どうやらあの弾幕は多弾頭型の様で、
一つの弾が空中で無数に分離して早苗達に襲いかかってくる。

抱き抱えた女の子を庇いつつ、回避を試みる早苗だったが、
相手の弾幕が彼女の肩や足に次々と被弾、そして、

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

遂にバランスを崩し、そのまま地面へと墜落して行く早苗たち。

咄嗟に受け身を取ったお陰で女の子の方にダメージは無かったが…。

「う、うぅ…。」

「早苗お姉ちゃん、しっかりして!!」

早苗の意識が朦朧として、全身に激痛が走る。

だが、

今ここで自分が踏ん張らないと、この子が…!!

彼女はそう自分に発破をかけ、
やっとの思いで体を起こし、そして立ち上がる。

そんな彼女の前に、またもや『ソレ』が姿を見せる。

まるで「お前たちはもう逃げられない、観念する事だな」とでも

言いたげな目線を投げかけつつ…。



右腕と左足、そして一撃目を受けた背中の痛みが酷い…。

早苗が痛みのする右腕をちらりと見ると、
先ほどの墜落時に咄嗟に受け身を取った時に擦ったのか、
酷い擦り傷が出来ていて、血まみれになっていた。

左足のふくらはぎの辺りからも弾幕の被弾による流血があり、
これでは満足に動く事も出来ないだろう。

頭もどこかを打った様で、血が流れ出ているのが分かる。

一言で言うなら、今の早苗の状態は正に『満身創痍』だった。


この女の子と一緒に生き延びるには、目の前のアイツを倒すしかない…。

でも、『海が割れた日』を直撃してピンピンしてるような妖怪を相手に
神風『神の風』を使って攻撃してもたかが知れている。

それに相手も、流石に先ほどと同じ二の舞は演じないだろう。

こちらは重傷を負っているにも関わらず、
不用意に攻めようとしないのは恐らくその為だ。

『神の風』を当てるには相手を
此方の間合いまで引き寄せなければ当てることは出来ない。


ここに私じゃなくて、霊夢がこの子の傍にいてくれたら、
夢想封印や八方鬼縛陣、夢想転生で危機を打開できるのに…。

気を失いそうになるのを気力のみで耐えつつ、
インフルエンザで倒れている霊夢でなく、
実力のない自分がここに居る事を悔みかけたその時…、

(ん、夢想封印…?)

そういえば博麗神社を出かける前に一枚だけ、
霊夢さんの夢想封印を持っていたわよね…。

そう思い、霊夢の『夢想封印』のカードを取り出す。

他人が使うカードに書かれた技を自分が使えない事くらい
早苗にも良く分かっていた。

だが同時に、以前スペルカードルールに則った
チーム戦を行う場合の注意事項を霊夢から聞いた時の事を思い出した。

( 基本的にスペルカードに書かれた技を他人が使う事は出来ないけれど、
 一応例外も存在するわ。
 それがチームで弾幕していた時ね。
 その時はお互いのカードを融合して、
 全く新しいスペルカードを生みだすことが出来るのよ。

 いい例が魔理沙とアリスがタッグを組んだ時に使ってくる、連砲『マリス砲』ね。
 これはアリスの『魔彩光の上海人形』と魔理沙の『メテオシャワー』2枚を
 組み合わせたスペルカードで、アリスのスペルカードの攻撃範囲の弱点と
 魔理沙のスペルカードの弾幕のムラという弱点を補い合ったスペルカードよ。)

スペルカードの融合という技術があるのなら、
ひょっとしたら自分一人でも、出来るかもしれない…。

そして、早苗はもう一枚カードを取り出す。
自分が今、所持しているカードの中で最も威力のある、

神風『神の風』のカードを。


だがコレは、本当に一か八かの賭けだ、出来るかどうかも分からない…。

でも今は、コレに頼るしかない!!

どうやらこちらに打つ手なし、というのが分かったのか、
早苗たちの周りを周回していた『ヤツ』が動きを止めてその大きな口を開き、
此方に弾幕を放たんとしているのが分かる。

恐らく狙っているのは、私だけだろう。
そしてその一撃で重症の私を仕留めた上で、この子を…。

そうは、させないっ!!


そう覚悟を決め、スペルカードを発動しようとしたその時、

「お姉ちゃん、そのカードを貸して。」

傍に居た女の子が早苗の手から霊夢の、霊符『夢想封印 -集-』のカードを取ると、

「霊符『夢想封印 -集-』」

とスペルカード宣言。すると、
その女の子の周りの地面から魔法陣が形成され、七色の弾幕が形成されていく。

「こ、これは…。」

そう、早苗も何度も見たことのある、霊夢の使う『夢想封印』そのものであった。

で、でもどうしてこの子が霊夢さんのカードを?
薄れていきそうになる意識をどうにか保ちながらその理由を考えそうになると、

「早苗お姉ちゃん、早く!!」

スペルカードの弾幕を放たんとする女の子の
その言葉で我に帰った早苗はすぐさま、

「神風『神の風』ッ!!」

自分もスペルカードを発動。

早苗を中心に凄まじいまでの竜巻が巻き起こり、
そこから無数の弾幕が吐き出される。

それと同時に早苗の傍で弾夢想封印発動中だった女の子も、夢想封印を放つ。

早苗が放った弾幕を避けつつ接近しようとする『奴』だったが、
そこに女の子が放った『夢想封印』が殺到する。

そして『奴』に『夢想封印』が次々と命中し、大爆発し、
早苗が先ほどから形成している竜巻の方へ吹き飛ばされる。

夢想封印を食らった『奴』、つまり妖獣の方は
どうにか竜巻に巻き込まれまいとするが、元々飛行能力までは
有していなかったのか、その努力も無駄な徒労に終わり、

結果として早苗の竜巻の中に吸い込まれ、その中で
彼女の出す弾幕を全身にモロに喰らっていく…。


やがて、早苗のスペルカードの効果時間が切れ、

早苗はその場に、意識を失って倒れこんだ…。






「う、うぅん…。」

早苗が目を開けると、見知らぬ天井が広がっていた…。

「そ、そうだ霊奈ちゃんは…!!」

ベッドからガバっと起き上がる早苗だったが、
そんな彼女に全身から痛みの応酬が襲いかかる。

「あ゙ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」

痛い、体中が物凄く痛い。ていうかもう痛いなんてレベルじゃない!!

体がバラバラになってしまいそう…。


「あぁーもう、まだ起き上がっちゃいけないのに。」

そこに、早苗の悲鳴を聞きつけてか八意 永琳が現れる。

「…ここは?」

「永遠亭の入院病棟、といった所かしらね。
 人里での数日前の異変で重症を負って意識を失っていた所を、
 魔理沙がここにかつぎ込んで来たのよ。」

「あの、私の傍に居た女の子は…?」

「その子なら大丈夫よ、
 あの後そこに駆け付けた魔理沙たちがちゃんと保護したわ。」

「あぁ、よかったぁ…。あの妖怪はどうなったんです?」

あの妖怪はどうなったのだろう?
ちゃんとあの一撃で倒せていればいいのだけれど…。

「貴女達の攻撃を受けてもまだ死んでは無かったみたいだけど、
 そこに貴女の作った竜巻を見た魔理沙たちが駆けつけてくれたお陰で
 里の外へ逃げて行ったみたいね。」

あの一撃でも完璧に撃退は出来なかったか…。

しかし、あの子は一体何者だったのだろうか?

妖怪から執拗に付け狙われ、
そして霊夢さんのスペルカードを使って見せたあの子は…。

「貴女を手当てした後で霊夢から聞いた話だけど…、」

そんな早苗の疑問に気づいたのか、永琳が話し出す。

「貴女が必死で守ろうとしてた女の子、
 実は次の代の博麗の巫女の最有力候補らしいわ。」

「え…?」

「霊夢によると、博麗の巫女というのは代々、
 人里の中で一際強い霊力を持った女の子を抜擢するそうよ。

 つまりあの女の子は、
 今の代の博麗の巫女に何かあった時の為の保険みたいなものね。」

「そうだったんですか…。」

「だからこそ、あの妖怪は彼女を喰らい、その力を手にしようとしたのね。
 それも、『博麗の巫女』となる前に。

 …その女の子が『博麗の巫女』となってしまえば、
 すべての妖怪は原則として巫女を殺すことが出来なくなるみたいだし。」

もしそうなのであれば、全てにおいて合点が行く。

あの霊奈ちゃんが常に妖怪に狙われていたのもの、
そして霊夢さんのスペルカードを使う事が出来たのも…。


「あぁそうそう、霊夢がお礼を言ってたわ。本来私がやらなくちゃいけない、
 博麗の巫女の仕事をきっちり代行してくれてありがとう、と。

 それから、霊夢のインフルエンザもほとんど回復したみたいだから、
 もう代理巫女もお役御免といった所かしら。」

「そうですね、流石に今回みたいな事はもうちょっと勘弁してほしいですけど…。」

「それじゃ、貴女のお連れ様二人に、目を覚ましたと伝えておくわね。

 ちゃんと謝っておきなさいよ、あの二人、貴女がここに重傷を負って
 担ぎ込まれたと聞くや否や妖怪の山からダッシュでここまで飛んできたみたいだし。
 余程貴女の事が心配だったみたいね。」

「はは…。」


その後、私が目を覚ましたとの連絡を受けて、永遠亭の屋敷の待合室から
台風の如き勢いで走ってきた八坂様や洩矢様にもう大丈夫ですから、と
伝えるのと同時に心配をかけてごめんなさいと謝り、

更に私の容態を覗きに来た魔理沙さんにも礼を言って、そのあと、

私は、緊張が解けた安心感から来た眠気なのか、
そのまますぅと寝息を立てて眠ってしまったそうです。

そんなこんなで、私、東風谷 早苗の
博麗神社の代理巫女としての仕事は幕を閉じたのでした。




あとがき

ここまで読んで頂いて有難うございます。

何か無駄に分量のみ増えてしまった感がありますが、
そこら辺は申し訳ないっす。

戦闘シーンの演出の描き方はどうも難しいっすね…。


それから、予告と全然関係ない内容になってしまって申し訳ねぇっす。

何か謝ってばっかりだな俺w

次回作は未定です。またネタを思いついたら書きます。

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2009-01-18 17:06:04   

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NoName

せめてオリキャラ警告だけはつけてください

2009-01-19 07:01:25   

ああ、そういえばそうですね。
以後気をつけます。

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