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机の落書き
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No 10 机の落書き
「ここから物語は数ヶ月の時を過ぎることになる。
学園祭を終え、田嶋華音に、彼女の幼馴染の鷺沢 蹴の喪った記憶を取り戻す
協力することになった浅羽 嵜。
だがことの次第を上手に合点がきかなかった嵜は「なぜ華音が取り戻せない」と言い、
必死に「取り戻したい」のか分からなかった。
何を取り戻したいのか。その正体をきっちりわかりたかったのだ。
しかし真実は…嵜を苦しめるものでしかなかったのだ。
っと俺は予想するけど…どうなんだ浅羽」
「うっせーよ」
正直ムカつくほどあたっていたがここはなんにも言い返さなかった。
っていうか何で知ってるの。
「なんだよ。つれないなー、ただの憶測と想像力の話じゃないか。
こんなのドラマじゃないとないない笑」
( いや今俺の現実なんですけど )
「なんだよ~反応くれよ☆☆……昔はもっと可愛かったのに」
「本城、泣くな。浅羽は俺たちが知らない間に大人になったんだよ」
「…なにっ!それほんとか椎名!!何情報???」
「実は…」
ブチッ
「超えてねぇよこの野郎!!悪かったなぁ!」
「きゃー、襲われるぅ~」「助けて――キャーキャ」
本城と椎名を追い掛け回す。
そんなクラスももうすぐ二年生が終わり、三年生になろうとしている。
いまいち最上級生という自覚みたいなものがないが…とりあえず。
今はもう年が明けて一月。
まだ正月ボケの二年生も、じょじょに受験に対して考えるようになった。
三年生はもう自主登校になっている。
推薦で大学が決まっている三年生以外は今、受験の真っ最中だった。
「サヨ先輩も今頃頑張ってるんだよな……。
……まぁ先輩なら楽勝……?そうだよな、田嶋」
田島っ。
今思えばこうやった自然に話せるようになったのは大きな進歩だよな。
と内心感涙しつつ、嵜は華音に話しかける。
「えっ…うんそうだね。あっ、今昼休みだよね…ちょっと行ってくる」
華音は頷いた。そしてまた呆ける。
最近この調子だ……。どうしたのだろう…………?
笑顔が最近見ていない。やはり先輩が卒業するのは…淋しいのだろうか。
確実にあの秘密の場所から一人ぼっちになるから?
「………あぁぁ、やめだ。もぉ俺はいやこれ考えないぞ。
つか暗いの…難しいの…そんなことないってんだ!」
「そっ……分かってるじゃねぇか浅羽」
言いながらの頭に肘ついてくるクラスの誰かといえば決まってる。
松元 順は欠伸しながらも猫みたいな悪戯っぽい目でぐりぐりする。
「痛いです」
「そうか、そりゃ生きてるって感覚だぞ。大事にしろ」
「痛いの嫌です」
「そりゃそうだ。っていうかお前は苛められるのが好きなんじゃなかったか?」
「……ちょっとなに都合のいいこと言ってんだ」
「やっと敬語とれやがったな。俺のことは気安く……」
『ジョーン』←クラス一同
「って…呼ぶんじゃねえぞこの野郎!」
「はははははっ」
こんな乗りのこのクラスとももうすぐお別れ。
寂しいものだ。本当に。いいクラスだったのにな。
「やっとらしいアホ面に戻ったな」
「………へ?」
「……お前はさ。いつもなんだか馬鹿みたいに気持ち顔に出してやがる。
嬉しかったり、怒ってたり。
……田嶋といる時なんか常にニヤニヤだ」
「げっ…………この人にまでバレバレ……」
かなりショックだ。なのにどーして本人には分からんのだろう。
「つまりだ…。お前はもともと複雑なこと考えるようにできてないってことだ」
「……えっと、つまり馬鹿?」
「あぁ」
そこ認めちゃうんだ。
「いいか?帝王学の一部だが……教えてやる。
言葉でどんだけ言ったって人の心ってもんは動かない。
なにが動かしてくれるんだとおもう?人の心動かすには」
( それは俺が知りたい )
華音の悩みを晴らしてやりたい。
だが…蹴の気持ちもわからなくもない………。
一番しめてやりたいのは、交通事故ひきおこしたひき逃げ野郎だが。
「…金?」
「てめぇは糞か??そんなんじゃ、人の上になんかたてねぇぞ」
「べつに立つ予定なんかないって」
「まぁいい教えてやる。いいかおれ様よぉーく聴け」
………なんだよ。やけに勿体付けるな。
「お前がよくしていたことだ」
「???」
「お前は……よく『動く』………それが一番人の心を動かすもんだ。
だから…もし悩んでたり、誰かの力になってやりたいなんてお人好し精神ひらくなら…。
動け……。頭脳プレーは誰でも出来る。人の心、やりとり損得…なんだって。
最近の奴らは得意だでもできないのがある。それは…他人の為に動くことだ…。
動くのは…お前しか出来ない」
頭にこんがらがっていた糸がいっぺんに緩んだ。
そしたらほどきは簡単にほどけた。そんな感覚。
好きなように自分らしく動くことを許されたような気がした。
けれど同時に不安になる。
間違えたらどうする。
順はだがそんな不安に鼻で笑った。
「……馬鹿馬鹿しい。
『袖すりつけ錆びるも何かの縁』っていうだろう」
「………間違ってるって」
逃げた椎名だった。面白そうに今度は反対側から肩に肘を置いてくる。
「……間違えたらなんとかしてやる。
この半年間―まだそんだけだけど…俺ら。っていうか俺たちが勝手に
お前のこと友達だって思ってるって…知ってたか?」
「……えっ」
本城が正面から出てきた。それからすかさずデコピンを食らわしてくる。
「うし、その間抜け面。
浅羽 嵜…それが俺らの知る。…ダチだな」
半年―
秋にここに来て…華音のことが好きになって。
彼女のことしか考えてなかった。それなのに…今こうしてどうして周りにいてくれる人がいるのだろう?べつに優しくしたわけでも、危機を助けたわけでもないのに。
いつから友達だと見てくれるようになったのだろう。
それでも…本城の言葉も
松本のありがたい(笑)教えも
椎名の訂正も……とにかく……。
「友達」として傍にいてくれることが嬉しかった。
***
もうこの机に座る日数も少ない。
次は誰に使われるのか。さては捨てられることだってある。
それでもこの表面になにか「言葉」を残していった先輩たちの気持ちが少し分かった。
残したいのだ。
くさいかもしれないが青春の感動という奴を…確かな形としてこの想いでの場所に。
残したい一心だったんだと思う。
だからクラスが終わる時に書こう。
「このクラスで、この席でよかった」って。