葬儀のときに渡された、母の大好きだったアンティークの指輪は、煤けてさらに鈍い色をしていた。
「鈍色の花」
パリでも有名な洋菓子店、「ショコラのお家」が全焼したニュースが流れたのは翌日のことだった。
洋菓子店のオーブンから発火して、消火が間に合わず消火活動をしていた夫婦が焼死したという。
ひとり息子のギー=ワロキエを残して、お菓子の家は消えてなくなった。
・・・

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食堂で昼食のカレーを食べながら、レポートに使うための資料に目を通した。資料にはバラバラ殺人のピンナップがついており、カレーを食べるときに見るものではないなあと我ながら思った。
「ギー、カレー食べながらバラバラ殺人見るのやめろよ」
隣からクラスメイトのチェスター=クラークが注意する。その手にもやはり資料らしきものが握られている。
「あなたこそミートソース食べつつ猟奇殺人読むのやめたらどうで・・・

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翌日、ノートに細々とした殺人の履歴やら容疑者のリストを作ったギーが警察署へと姿を現すと、チェスターが声をかけてきた。
「そっち、順調か?」
「まあまあですね」
「お前はそう言っていつでも完璧なレポートを提出するんだろ」
「今回は実践ですよ? そう簡単にいくとは思いません」
「たしかにそうだけどさ」
チェスターは唇をぶぅとアヒルの形にして、手元の資料をギーに見せ付けてきた。
「なあ・・・

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