アクリルケースの中、その薔薇は海よりも深いブルーの輝きを放ち、見るものの言葉を奪った。
『ブルーローズ』不可能を意味するその存在が今、私の目の前に存在している。
一般にはあまり知られていないことかもしれないが、バラの花色に『青』は存在しない。少しでもバラに興味のある人の間では常識として語られる話題。
なぜ不可能なのか。それは、バラはその体の中に青い色素を持っていないことが・・・

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周囲にはまだ田畑の残る片田舎の一軒家。春とはいえこの地方の朝はまだ寒い。そんな中、鼻歌混じりに庭の植物たちに水を掛ける男がいた。唄が古いのか、はたまた音痴なのか曲名はわからない。
身につけているのは紺色に白い縦ラインのジャージ、さらに健康サンダル。親父くさい格好だが、実際に親父なのだからこればかりは仕方がない。
男の名は 藤中 誠一郎 今年で五十歳になる。これでも一応刑事を職業と・・・

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琴音の勤める大型園芸専門店【フェアリーリング】は盛岡市の郊外にある。まだ車どおりもまばらな道を黄色の軽自動車が猛スピードで走ってきた。小さなタイヤをきしませながら敷地に入ると、お客様駐車場から奥まった従業員専用の駐車場に飛び込む。
ゆっくり車庫入れする余裕もないのか、そのまま頭から枠の中に突っ込むと、エンジンが停止するのとほぼ同時に車を飛び出す。ハンドバックをつかみ、リモコンキーで鍵を閉める・・・

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