夜の学校、今僕は誰もいないこの場所に一人忍び込んでいた。理由は忘れ物。明日までに片づけなければいけない宿題の問題集を机の中にいれっぱなしにして帰ってしまったのだ。その問題集が理科ならまだしも、数学だから困ったもんだ。数学の鬼頭(おにがしら)先生はその名前の通りまるで鬼のような人だ。宿題を忘れたりなんてしたら、それだけで授業じゃなく説教で一時間潰れるにきまってる。僕は幾度となくそうやって鬼頭先生の・・・

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右手を軽く握り、こんこんと目の前の白い扉をノックする。中から「どうぞー」という明るい声が聞こえるのを確認してから、僕はゆっくりと扉をスライドさせて病室に入った。
白い壁に囲まれた小さな病室には、ベッドの上で上半身をあげている一人の女性。名前を鷲奈楓(わしな かえで)といい、僕の実の姉だ。姉さんは、数週間ほど前に交通事故にあってここに入院することになった。不幸な事故だった。姉さんにぶつ・・・

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ジリリリリリ
目覚まし時計がやかましく僕を起こす。僕は朦朧とする意識の中、ゆっくりと暴れまわる時計に手を伸ばし、その動きを止める。大きな伸びを一つしてから、ぼくはベッドから降りてカーテンを開ける。いい天気だ。どうやら昨日の夜の曇り空はもうどこか風に吹かれてしまったようだ。僕はまだぼんやりとする頭でパジャマを脱ぎすて、制服に着替える。それから一階へと降りて、洗面所で顔を洗い歯を磨いた。
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